守護神でわかるあなたの性質― 八百万の神々図鑑(全10柱)―
日本には古来「八百万(やおよろず)の神々」が宿るとされ、山や川、木や岩、風や火に至るまで、 あらゆるものに神様が住むと信じられてきました。 姓名判断「八百万の杜」では、お名前の画数から導かれる五行(木・火・土・金・水)と陰陽の組み合わせによって、 あなたを見守る守護神を一柱お示しします。
ここでは、その10柱の神々の神話・ご利益・授けてくれる性質を一柱ずつご紹介します。 あなたの守護神がどんな神様なのか、その背景を知ることで、鑑定結果がより深く心に響くはずです。
五行「木(き)」の守護神
まっすぐ成長し、人を育てる優しさを持つ「木」の気。芽吹きと発展の象徴です。

このはなさくやひめ
木花咲耶姫
花のように咲き誇る美の女神
別称:木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)/木花開耶姫
― 神話 ―
山の神・大山津見神(おおやまつみのかみ)の娘で、天孫・邇邇芸命(ににぎのみこと)が地上に降り立った際、笠沙の岬でその美しさに一目惚れされて妃となりました。「木花」とは桜のこと。咲き誇る花のように美しい女神です。
ひと夜の契りで身ごもったため、邇邇芸命に「国つ神の子ではないか」と貞操を疑われます。怒りと誇りから彼女は、出口を塞いだ産屋に自ら火を放ち、燃えさかる炎の中で三柱の御子を無事に出産。「天つ神の子なら炎の中でも無事なはず」と、火中出産によって身の潔白を証明したのです。このとき生まれたのが、海幸彦・山幸彦の兄弟でした。
姉の石長姫(いわながひめ)とは対照的に描かれます。父・大山津見神は、永遠の命を司る姉と繁栄を司る妹の二人を共に嫁がせましたが、邇邇芸命が醜い姉を返し咲耶姫だけを選んだため、天孫の命は「花のように美しくも儚い」ものになった——これが人がやがて死を迎える由来とも語られます。
司る力:安産・子育て・良縁・美容・繁栄、そして火難除け。富士山を御神体とする女神でもあります。
主な神社:富士山本宮浅間大社(静岡)を総本宮とする、全国約1,300社の浅間神社。
この神に守られるあなたへ
あなたは、桜のように人を惹きつける華やかさと、炎の中で出産を遂げた芯の強さを併せ持つ人。美しく咲くことを恐れず、いざという時には誇りを貫く強さがあなたの武器です。

くくのちのかみ
久久能智神
天に伸びる木々の神
別称:久久能智神/句句廼馳(くくのち)
― 神話 ―
伊邪那岐(いざなぎ)・伊邪那美(いざなみ)の二神が国土を生んだのち、山・川・草木といった自然そのものを神々として生み出していきます。その「神産み」の中で、樹木を司る神として生まれたのが久久能智神です。
名の「くく」は茎(くき)、すなわち木の幹を表すとされます。一本の若木が天に向かってまっすぐ伸びていくように、大地に根を張り、年輪を重ねて大樹となる——その生命力そのものを神格化した存在です。記紀には多くを語られませんが、それは森羅万象に宿る木の精霊として、日本人の暮らしのすぐ隣にいた神だからこそでしょう。
家を建てる木材、舟をつくる材、暮らしを支える道具——古代の人々にとって木は文明の土台でした。久久能智神は、その恵みをもたらす静かで力強い神なのです。
司る力:成長・発展・健康・目標達成。林業・建築・ものづくりの守り神。
主な神社:全国の山の神を祀る社、林業の盛んな地域の樹木神社など。
この神に守られるあなたへ
あなたは、派手さよりも着実な成長で力を発揮する大器晩成の人。一年で実る草ではなく、何十年もかけて大樹になる木のように、続けることが最大の才能です。迷った時は大きな木のそばで深呼吸を。
五行「火(ひ)」の守護神
情熱的で人を照らす明るさを持つ「火」の気。創造とエネルギーの象徴です。

かぐつちのかみ
迦具土神
すべてを生み出す炎の神
別称:迦具土神/火之迦具土神(ひのかぐつち)・火産霊(ほむすび)
― 神話 ―
伊邪那美が最後に産んだ火の神。しかしその誕生は壮絶でした。燃えさかる火の神を産んだ伊邪那美は、御陰(ほと)を焼かれて病に伏し、ついに黄泉の国へと旅立ってしまいます。創造の女神に死をもたらした、いわば「生と死の境界」に立つ神です。
妻を失った伊邪那岐は、激しい悲しみと怒りから、十拳剣(とつかのつるぎ)で我が子・迦具土神を斬り殺します。ところがその飛び散った血や切り分けられた体から、雷神、山の神、剣の神など多くの神々が次々と生まれました。火は破壊すると同時に、新たなものを生み出す力でもある——迦具土神の死は、その二面性を象徴しています。
炎は鍛冶の火となって刀剣を鍛え、かまどの火となって人を生かす。畏れられると同時に、暮らしに不可欠な力として、火伏せ(防火)の神として深く信仰されてきました。
司る力:情熱・創造・厄除け・火難除け。鍛冶・陶芸・あらゆるものづくりの守護。
主な神社:秋葉山本宮秋葉神社(静岡)、愛宕神社(京都)など、火伏せの神社。
この神に守られるあなたへ
あなたは、内に熱い炎を宿す情熱の人。何かを生み出す力に長け、古いものを潔く手放すことで新しい運が燃え上がります。その火を正しく使えば、周りを暖め、照らす力になります。

あまてらすおおみかみ
天照大御神
天を照らす太陽の女神
別称:天照大御神/天照大神・大日孁貴神(おおひるめのむちのかみ)
― 神話 ―
黄泉の国から帰った伊邪那岐が、穢れを清めるみそぎを行ったとき、左目を洗って生まれたのが天照大御神です。太陽そのものを神格化した女神であり、高天原(たかまのはら)を治める、八百万の神々の最高神です。
弟・須佐之男命の度重なる乱暴に心を痛めた天照大御神は、天岩戸(あめのいわと)に隠れてしまいます。すると世界は真っ暗闇に包まれ、あらゆる災いが起こりました。困り果てた神々は岩戸の前で賑やかな宴を催し、天宇受売命(あめのうずめ)が舞い、どっと沸く笑い声に「何事か」と天照大御神が岩戸を細く開けた瞬間、八咫鏡(やたのかがみ)に映る自らの輝きと、力自慢の神に引き出されて、世界に光が戻りました。
この八咫鏡は三種の神器の一つとして伊勢神宮に祀られ、天照大御神は皇室の祖神として、今も日本の中心で信仰され続けています。朝ごとに昇る太陽は、この女神の恵みそのものなのです。
司る力:開運・成功・人望・国家安泰。すべてを照らし、人を集める中心の力。
主な神社:伊勢神宮 内宮(皇大神宮・三重)を頂点に、全国の神明神社。
この神に守られるあなたへ
あなたは、八百万の神々の頂点に立つ太陽の女神に守られる人。自然と人が集まり、その場の中心となって輝く運命を持ちます。朝日を浴びるほどに力が満ち、あなたの明るさが周囲を照らします。
五行「土(つち)」の守護神
どっしりと安定し、すべてを受け止める「土」の気。育みと豊かさの象徴です。

はにやすひめのかみ
埴安姫神
万物を育む大地の女神
別称:埴安姫神/波邇夜須毘売神(はにやすびめのかみ)
― 神話 ―
火の神を産んで病に伏した伊邪那美が、苦しみの中で漏らした排泄物から生まれた神。糞から生まれた波邇夜須毘古・波邇夜須毘売の対の女神が、この埴安姫神です。一見すると意外な生まれですが、これは大地の豊かさが、命の終わりや排泄といった「還元」から生まれることを示す、深い自然観の表れです。
「埴(はに)」とは、土器や陶器をつくる粘土のこと。万物を受け止め、種を育て、形あるものを生み出す母なる大地そのものを司ります。田畑に実りをもたらす農業の神であり、土をこねて器をつくる陶芸の神でもあります。
華やかさはなくとも、すべての命はこの大地の上に立っています。どっしりと構え、静かにすべてを育む——埴安姫神は、最も根源的な「育み」の力を持つ女神なのです。
司る力:家庭円満・安定・豊穣・財。農業・陶芸・土に関わる仕事の守護。
主な神社:全国の地主神社、農村の土の神を祀る社、陶器産地の窯神社など。
この神に守られるあなたへ
あなたは、母なる大地のように、周りを安心させ育てる包容力の人。焦らずどっしり構えることで、家庭も仕事も実り豊かになります。土に触れること(園芸・陶芸)が開運の鍵です。

おおくにぬしのみこと
大国主命
国づくりと縁結びの大神
別称:大国主命/大穴牟遅神(おおあなむぢ)・葦原色許男・大物主神 ほか多くの別名
― 神話 ―
須佐之男命の血を引く神。有名な「因幡の白兎」では、毛をむしられて泣く兎に、傷を治す方法を優しく教えて助けます。心の優しさで知られる神です。
その優しさゆえに、意地悪な八十神(やそがみ)の兄弟たちに妬まれ、二度までも殺されますが、母神の力でそのたびに蘇生。さらに根の国へ逃れ、須佐之男命が課す蛇の室、火の野原といった数々の試練を、妻となる須勢理毘売(すせりびめ)の助けを借りて乗り越え、ついに一人前の神として認められます。
地上に戻った大国主命は、小さな知恵の神・少彦名命(すくなびこな)と協力して国づくりを進め、葦原中国(あしはらのなかつくに)を豊かな国に育て上げました。最後は天孫にその国を譲り(国譲り)、自らは出雲の地に鎮まります。幾多の苦難を愛と忍耐で乗り越えたその生涯から、縁結びの神として絶大な信仰を集めています。
司る力:縁結び・夫婦和合・商売繁盛・医薬・国土経営。人との「ご縁」を司る大神。
主な神社:出雲大社(島根)を総本社に、全国の大国主を祀る社。神在月の縁結び。
この神に守られるあなたへ
あなたは、優しさと忍耐で人の縁を結ぶ人。人とのつながりこそが最大の宝となる運勢です。困っている人に手を差し伸べれば、巡り巡って大きな福となって返ってきます。
五行「金(かね)」の守護神
意志が固く、磨くほど輝く「金」の気。確かさと実りの象徴です。

いわながひめ
石長姫
岩のように揺るがぬ長寿の女神
別称:石長姫/磐長姫命(いわながひめのみこと)
― 神話 ―
山の神・大山津見神の娘で、木花咲耶姫の姉。妹が桜の花の美しさを象徴するのに対し、姉である石長姫は、巌(いわお)のように永遠に変わらぬ命を象徴する女神です。
天孫・邇邇芸命が妹の咲耶姫を見初めたとき、父・大山津見神は喜んで姉妹を共に差し出しました。そこには「石長姫を娶れば天孫の命は岩のように永遠となり、咲耶姫を娶れば花のように繁栄する」という父の祈りが込められていました。ところが邇邇芸命は、容姿が美しくない石長姫を実家に返してしまいます。
これを知った大山津見神は深く嘆きました。「永遠の命を約束した石長姫を返したために、天孫とその子孫の命は、花のように美しくとも儚いものになってしまった」——人間がやがて必ず死を迎えるようになった理由が、この物語に語られています。返された悲しみを抱えながらも、揺るがぬ永遠を司り続ける、静かで気高い女神です。
司る力:健康長寿・不老・延命・縁結び・不変の愛。揺るがぬ「永続」の力。
主な神社:雲見浅間神社(静岡)、貴船神社 結社(京都)など、縁結び・長寿の社。
この神に守られるあなたへ
あなたは、岩のように揺るがぬ意志と、変わらぬ誠実さを持つ人。流行に流されず自分の軸を貫くことで運が固まります。長く続けてきたことが、これから大きな価値になっていきます。

かなやまびこのかみ
金山毘古神
鉱山と金属を司る豊穣の神
別称:金山毘古神/金山彦命(かなやまひこのみこと)
― 神話 ―
火の神を産んで苦しむ伊邪那美が、吐いた嘔吐物(たぐり)から生まれた神。金山毘古・金山毘売の対の神のうちの男神です。嘔吐という最も苦しい瞬間から、鉱物と金属を司る神が生まれたことには、地中深くで生まれる鉱脈の神秘が重ねられています。
鉱山を掘り、鉄や銅を取り出し、炉で熱して鍛え上げる——金属加工のすべてを守護する神です。古代において金属の技術は、農具・武具・祭具を生む最先端の力でした。金山毘古神は、その繁栄をもたらす産業の神として、鍛冶師や鉱山師から篤く信仰されてきました。
原石は磨かなければただの石。しかし正しく掘り当て、火で鍛え、磨き上げれば、黄金の輝きを放ちます。金山毘古神は「磨くほどに価値が増す」という、職人の道そのものを体現する神なのです。
司る力:金運・財運・技能上達・事業繁栄。鉱業・鍛冶・金属・刃物の守護。
主な神社:南宮大社(岐阜)を総本宮とする、全国の金山彦を祀る金物・鉱業の社。
この神に守られるあなたへ
あなたは、磨くほどに輝く才能の鉱脈を秘めた人。手に職をつけ、技を磨くことが最大の開運行動です。地道に腕を上げていくほど、その価値は黄金のように高まっていきます。
五行「水(みず)」の守護神
やわらかく流れ、すべてを浄める「水」の気。知恵と再生の象徴です。

せおりつひめ
瀬織津姫
禍を流し去る清流の女神
別称:瀬織津姫/瀬織津比売・祓戸大神(はらえどのおおかみ)の一柱
― 神話 ―
罪や穢れを祓い清める「祓戸四神(はらえどよんしん)」の筆頭に数えられる女神。神社で唱えられる大祓詞(おおはらえのことば)に、その働きが描かれています。
人が知らず知らずのうちに身につけた罪や穢れを、まず瀬織津姫が川の急流に乗せて大海原へと押し流す。続いて海の神々がそれを呑み込み、根の国へと運び去り、最後には跡形もなく消し去る——この清めのリレーの、最初の一歩を担うのが瀬織津姫です。山から海へと流れ下る、清らかな水そのものを神格化した存在といえます。
記紀の本文には直接その名は現れませんが、滝や川のほとりに祀られ、「水に流す」という日本人の心性そのものを司る神として、古くから静かに信仰されてきました。過ぎたことを手放し、新しく始める——その再生の力を授ける女神です。
司る力:浄化・厄除け・再出発・心身の清め。水に流し、新たに始める力。
主な神社:佐久奈度神社(滋賀)、瀧川神社(静岡)など、滝・川辺の祓えの社。
この神に守られるあなたへ
あなたは、よどみを洗い流し、常に新しく生まれ変わる清流のような人。過去のわだかまりを手放すのが上手で、再出発に強さを発揮します。川や海、神社の手水で手を清めると運気が整います。

すさのおのみこと
須佐之男命
荒波を越える勝負の神
別称:須佐之男命/建速須佐之男命・素戔嗚尊(すさのおのみこと)
― 神話 ―
伊邪那岐が鼻を洗ったときに生まれた、海原を治めるよう命じられた神。しかし母・伊邪那美を慕って泣きわめき、高天原では田の畔を壊し、神聖な機織り場に皮を剥いだ馬を投げ込むなど乱暴を働き、姉・天照大御神を天岩戸に隠れさせてしまいます。その罪により、高天原を追放されました。
地上の出雲に降り立った須佐之男命は、八岐大蛇(やまたのおろち)に毎年娘を食われ嘆く老夫婦と出会います。彼は娘の櫛名田比売(くしなだひめ)を妻に貰い受ける約束をすると、強い酒で大蛇を酔わせ、八つの頭を次々と斬り伏せて退治。その尾から現れたのが、後の三種の神器の一つ・草薙剣(くさなぎのつるぎ)でした。
乱暴者から英雄へ——須佐之男命は、櫛名田比売と結ばれて出雲に宮を建て、日本最古の和歌「八雲立つ 出雲八重垣…」を詠みました。荒ぶる力と繊細な歌心を併せ持つ、振れ幅の大きな神。困難が大きいほど燃え、絶体絶命を逆転する勝負強さを象徴します。
司る力:勝負運・困難突破・厄除け・縁結び・五穀豊穣。荒波を越える力。
主な神社:八坂神社(京都)、氷川神社(埼玉)、須佐神社(島根)など全国の社。
この神に守られるあなたへ
あなたは、困難が大きいほど力を発揮する逆境のヒーロー。普段は繊細でも、ここぞの場面で大蛇を斬る勝負強さを秘めています。迷ったら、恐れず一歩前へ踏み出しなさい。